管理人の無駄話 第1回
最近の魚雷

これは掲示板でF-14トムキャットさんの質問に対する管理人の回答を加筆改定したものです。


其の壱 水上艦搭載の魚雷

(むらさめ型2番艦はるさめが搭載するHOS-302短魚雷発射管の尾部)
一般的に、現在艦船の搭載する魚雷としては、自衛用の短魚雷という形で対潜魚雷を搭載しているか、対潜攻撃用にSUMとして搭載しているかのどちらかである。
第二次大戦時のように、対艦攻撃用に魚雷を搭載している大型艦は西側には存在しない。
ただ、中国には対艦攻撃用の大型魚雷を搭載している艦もあるが、これはどちらかというと対艦ミサイルの代替であると思われる。
また、ロシアにはSUMとしてだが、対艦攻撃も想定された魚雷も存在する。
これらの例外を除いて西側の例だけを見ると、水上艦が搭載するのは対潜用の魚雷のみである。

(左:むらさめのMk41VLS 右:たかつきのアスロック発射機)
SUMというのは、アスロックに代表される対潜ロケットのことで、弾頭に魚雷を搭載することで遠方の潜水艦を攻撃できるようにしたものである。
現有のアスロックは、艦のソナーの有効範囲である10kmに合わせて射程が決められているが、「ヘリが発見、母艦が攻撃」というのが一般化した現状では射程の短さが問題となっている。しかし、冷戦終結で対潜作戦のウェートが小さくなったことから、アメリカは従来のアスロックをVLSに対応させて小改修を施しただけで、特に新型は考えていないようだ。
日本は「新アスロック」として倍の射程を持ち、弾頭に従来の魚雷より大型の97式魚雷を使用するSUMを開発中。本来なら16DDHに搭載されるはずだったが、開発の遅れで16DDHには間に合わず、18DDHからの搭載となった。もっとも、後に換装される可能性はあるが。
これは中国の海軍力強化を睨んでのことであり、食料・燃料を海上輸送に頼る日本の現状を考えれば、SUMの開発継続は自然な流れと言える。
海上自衛隊が現在使用しているSUM発射機は、上の写真の2種類。
ともにアスロック専用というわけではなく、Mk41はイージス艦が使用しているのと同じVLSであるし、アスロック発射機のほうもハープーン対艦ミサイルを装填することも可能である(海自ではやっていない)。
西側に共通することとして、艦対艦攻撃の手段として魚雷は考慮されていない。


其の弐 潜水艦搭載の魚雷
潜水艦については機密事項も多く、あまり情報は多くありません。
しかし、今日も魚雷は潜水艦の主兵装であることは何の疑いもありません。
一時期、潜水艦の攻撃手段として水中発射の対艦ミサイル(USM)が持てはやされましたが、通常動力潜水艦にUSMを搭載するのは今のところ西側で日本だけです。
また、海自でもUSMを発射すると潜水艦の位置を暴露することになり兼ねないので危険ではないか。という意見もあるようで、再び魚雷重視に戻りつつあるようです。
潜水艦の存在意義は、その秘匿性にありますから、当然と言えば当然かもしれません。が、USMもUSMなりの利点がありますから、廃止にはならないでしょう。
通商破壊や艦船の撃沈に使われますから、水上艦の対潜魚雷のように小型のものではなく、大型のものを搭載しています。


其の参 航空機搭載の魚雷

東西問わず対潜魚雷です。
写真は米軍のP-3C。対潜魚雷、対潜爆弾は機内に収納して搭載する(写真では爆弾倉が開いている)
搭載しているミサイルはハープーン。
西側では艦船が搭載する対潜魚雷と共通のものを使用する。
対潜作戦では、対潜哨戒機が広域哨戒、探知→対潜ヘリが特定→艦艇がSUMで攻撃というのが理想とされているようです。
哨戒機も哨戒ヘリも水上目標への対処の占めるウェートが増えており、対潜魚雷とASMを同時に搭載できる哨戒機はともかく、哨戒ヘリでは両方の搭載はできないので連携が必要とされています。


加筆改定と言う割にはもはや別物ですねw
まぁ、毎回こんなマジメな話とは限りませんので悪しからずw

戻る